民族は砂漠に育ち、都市で腐敗する。
民族は砂漠に育ち、都市で腐敗する。
The desert breeds nations, and the cities corrupt them.
— イブン・ハルドゥーン
【格言の概略】
イブン・ハルドゥーンの主著『歴史序説(ムカッディマ)』において、文明の興亡と社会の性質変化を説明する際に述べられた言葉です。彼は遊牧民的な生活を送る人々が持つ連帯意識と、都市生活によって生じる退廃のサイクルをこの格言で表現しました。
【意味の解説】
この言葉は、厳しい自然環境で暮らす人々が形成する強い連帯感と規律が、文明が成熟した都市生活の快適さによって徐々に失われる過程を表現しています。
・砂漠のような環境では、生存のために共同体内部での助け合いが不可欠となり、人々は質素で規律正しい生活を送ります。
・一方、都市生活の豊かさは人々を享楽へと誘い、個人主義が蔓延し、かつての結束力や徳が失われていく傾向にあることを指摘しています。
【現代における意義】
この格言は現代社会においても多くの示唆を与えています。
・企業や組織においては、創業期の強固な連帯感やハングリー精神が、成長後の安定や豊かさの中で失われがちになる現象と重なります。
・また、物質的な豊かさが精神的な堕落やコミュニティの崩壊を引き起こす可能性は、現代の情報化社会や消費社会にも通じる普遍的な課題を示唆しています。
・個人が利便性を追求するあまり、本来あるべき社会的なつながりや規範を見失わないよう警鐘を鳴らしているとも解釈できます。

