ジェニファー・ダウドナとゲノム編集技術の確立
CRISPR-Cas9システムは、細菌がウイルスから身を守るための免疫機構を基盤としています。このシステムの中核をなすのは、Cas9というタンパク質と、ガイドRNAと呼ばれる短いRNA分子の複合体です。
ガイドRNAは、標的とするDNA配列と相補的に結合する部分と、Cas9タンパク質を誘導する部分から構成されます。このRNAとCas9タンパク質の複合体は、細胞内のゲノムDNAを探し、ガイドRNAと完全に一致する配列を見つけると、Cas9がその部位の二本鎖DNAを切断します。
この切断を利用して、遺伝子の不活性化、修正、あるいは新たな遺伝子の挿入といったゲノム編集が可能になります。
ジェニファー・ダウドナ博士とエマニュエル・シャルパンティエ博士らは、このCRISPR-Cas9システムの分子メカニズムを詳細に解明し、試験管内で再構成することに成功しました。この発見は、疾患治療や農業分野における革新的な応用へとつながる、現代化学における極めて重要な功績と言えるでしょう。

