残留性有機汚染物質の特性と環境運命
残留性有機汚染物質 (POPs: Persistent Organic Pollutants) は、環境中で分解されにくく、生物の体内に蓄積しやすい特性を持つ有機化合物の総称です。これらは一般に脂溶性が高く、水に溶けにくい性質を持っています。
POPsの代表的なものには、かつて農薬として広く用いられたDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)や、絶縁油などに使われたPCB(ポリ塩化ビフェニル)などがあります。これらの化合物は、安定な炭素-塩素結合を多数持ち、化学的に非常に安定なため、紫外線や微生物による分解を受けにくいという特徴があります。
環境中に放出されたPOPsは、大気中を長距離移動し、極地を含む地球上の広範囲に拡散することが知られています。これは「地球の蒸留」と呼ばれる現象で、比較的暖かい地域で揮発したPOPsが、大気の流れに乗って冷たい地域で凝縮・沈着を繰り返すことで起こるのです。
生物がPOPsを摂取すると、その高い脂溶性のため体脂肪組織に蓄積されやすく、食物連鎖を通じて高次捕食者ほど高濃度になる生物濃縮(バイオマグニフィケーション)という現象を引き起こします。これが生態系やヒトの健康に長期的な影響を及ぼす懸念があるため、国際的に使用や製造が規制されています。
